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日々思うこととか、アニメの感想とか かなり気まぐれです ネタバレ要注意!
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まだ遊んでる場合じゃない事には変わりないんですが

いろいろやってました
なんか、早く最終ページが描きたいそんな気分



いろいろ考えると
ちょっとグロイかもしれない
------
月が、赤かった


その赤さに神の一族の彼を思い浮かべる
漆黒の空にそれはとても映えていて

明日地震でも起こるんじゃないかとさえ思った


沈黙を壊すようにポツリと彼が言った






「今日は外に出るなよ」





「え…」
「このまま帰って、部屋から出ないように」絶対にね

カイルの念を押した声が響く
今の部屋と言えば、洞窟の中
月なんて見えやしない

残念そうにロウビィははーい、と返事をした





(暇だ……)
やることがないわけではない
やる気が起きないのだ

先ほど見ていた赤い月がどうも脳裏に焼き付いて離れない
カイルが何度も念押しして外に出るなと言うのは、何なのか

昔から月には魔力があると言われている
変な魔力に引き寄せられてどこかに行かないように…か

(そんな子供じゃあるまいし)迷子になんかなるものか

暇をもてあそぶ状況にロウビィはベッドの上でゴロゴロとする
こんな時間にカイルやウィンの部屋に遊びに行くのもどうかと思った

そんな中、一匹の蜂が部屋に入ってきた





「え…?」やられた!?

報告によると、何匹もの蜂が何者かに殺されたらしい
緊急事態を知らせる蜂と先ほどのカイルの警告が重なる

(蜂が殺されるって事は…俺たちの敵か…?
 いやでも、カイルさんは出るなって言ってたしな…)

数匹の蜂が帰ってきた
どうやら敵は多数

このアジトの周りに集結しているらしい
蜂の情報から敵の配置が
何かを取り囲むように円状になっている事がわかった

中心はここから、そう遠くない
下手に首を突っ込んで、迷惑を被るのはロウビィだけではない
しかし、やられた蜂の数から放置できる状況でないのも確かだった

「行くか?」
トーンの低い声が響く

扉を背に日本人形が立っていた












「何だ…コレ」

月の赤さと同じくらい…否それ以上の赤が広がっていた

厳密にいえば、黒っぽいのだが
いかんせん脳内で赤く変換される




アジトから数分
岩肌が真っ赤に染め上がっていた

満月とはいえ夜は夜
暗いお陰で見たくないものは見えずに済んでいる

尤もスピリタスはソレを避けるようなルートを歩んでいるのだが

「何で…何かあったのかよ」
「ロイヤルハンターだな」
「ロイヤルハンター? あぁ、以前パーロツォーネが襲われた」
「そうなのか? あいつはロイヤルじゃないだろう
 いや、大体わかった」

スピリタスと目が合う
彼女のはっきりとした言い方にロイビィは少しびくついた

「何だよ、そのロイヤルハンターって」
「知らないのか?」クズが

「一族の王族を狙うハンターの一種だ」
「王族?」
「純血種とも言う」
「はぁ」

「聞いたことくらいあるだろう
 不死鳥族の血を飲むと不死身になるとか、
 竜族の肉を食むと不老不死になるとか
 そういうのを信じきっている迷信深い奴らで
 ロイヤルは王族…つまり、王族や純血種のみを専門に扱うハンターだ」
「パーロも王族なのか?」神の一族ではあるけど
「リッカは外来の一族だが、パーロツォーネの髪や眼は赤いからな
 それだけで希少価値は高い上に、何かしらの薬効くらいありそうに見えるだろう」

確かに、とロウビィは頷いた
神の一族とか言われていて、あそこまで赤い髪と眼を持っていれば
不思議な力くらい秘めていそうな感じはする
スピリタスの言った言葉を反復させながら
ロウビィはふと気がついた

「俺らの中に王族っている?」まさかカイルさん?
「ただの偶然だ」
「偶然?」
「たまたま狙いがこの近くに来ていた」それだけだ

「狙いって」
「来るぞ」

ごう、と風が吹いた









地面から蓮の花のような刃が生える
それに足を取られる人が一人

空中を竜のような火が舞う
それに焼かれた人が一人

宙で剣が響き合う
それに切られた人が一人

風が衝撃波となる
それに飛ばされた人が数人





2人で木陰に隠れたはずが
物凄い魔力の波が襲い掛かる

わずか数秒でそれは過ぎ去っていった

「すげぇ…」カイルさん並みだな
「それ以上かもしれないな」

さらりとスピリタスは感嘆の言葉を言った
「カイルさん以上って…」何が起こっているんだ?

「依炉波だ
 渚羽の一位、依炉波がロイヤルハンターと戦っている」
「はぁ!? 何だよそれ」
「渚羽依炉波の実力は未知数だからな
 その噂を聞きつけたロイヤルハンターが何かの王族ではないかと推測し、
 それを知った依炉波が戦いを仕組んだ」
「仕組んだって」えぇ!?
「渚羽のシステムからも想像がつくだろう
 依炉波は今日、ここに来る事をロイヤルハンターたちに伝え、
 彼らが襲ってくるのを返り討ちにしているのだ」
「あ、あれ…依炉波さんだったんだ…
 でもなんでそんな…そこまで戦闘が好きなのか?」
「クズが これも策の一つだ
 不意打ちを食らうよりは、こちらからしかけた方が準備ができるからな
 それに今回の戦いでロイヤルハンター側を木っ端微塵にしておけば
 以降狙ってくる奴らを限定することができる」
「あぁ、そう…」

ただの戦闘マニアだと思った事は撤回した
「じゃあ、カイルさんが外に出るなと言ったのは…」
「この戦いに巻き込まれないようにだな」
「俺の蜂がやられたのは?」
「依炉波の使い魔だと思われたか…まずい!!」
「え?」

スピリタスの顔が近づく
小柄な体で体重をかけてロウビィを押し倒したスピリタスの
髪がパラリと切れた

スピリタスの指が宙に陣を描く
瞬時に防御壁が張られた

轟音と共に炎が2人の上を通る
彼女の防御壁で大分威力は落ちているものの
それでも熱さは感じた


「気付かれたか」来るぞ
炎が過ぎ去った直後に、スピリタスは数体の人形を出す
両手で陣を描き、ヴァルク流魔術の構えをとる


人形が剣を持ち、盾を持ち
それぞれが人と戦う

切れのいい音が辺りに響き渡った
「渚羽の仲間か」やれっ!!

立ち上がったロウビィに一人のロイヤルハンターが切りかかる
ソレを避け、腹に蹴りを一発

直後、スピリタスの人形がハンターを背後から襲った
「どうする?」
「このまま退けばアジトがばれる
 適当に散らすぞ」
「了解」

とは言ったものの、ロウビィはスピリタスのように戦う事はできない
数体の人形に守られながら、使えない笛を片手に周囲を見渡すことしかできなかった


ふと空を見ると、そこには蓮の花が咲いていた

月明かりに照らされて、七色に光るそれは
まるで月を食わんとするかのように咲き誇る

一瞬の間の後、蓮の葉が周囲に飛び散った


「伏せろ!!」
スピリタスの人形に押し倒されて、ロウビィは地面に体を叩きつけられた
が、直後に蓮の葉が上を通り過ぎる

無数の悲鳴が響き渡った
何かが飛び散るような音が聞こえる

スピリタスは続いて爆ぜた蓮の葉が
ロウビィに迫っている事に気付いた

「避けろっ!」ロウビィっ!!
スピリタスの声と共に、ロウビィをかばった人形が真っ二つに割れた

「っ……!!」
体を横に転がして刃を避ける
反動で起き上がると、僅かにかすった左手が痛んだ

スピリタスはロウビィの手を掴むと全力で走りだした
「このまま退く」
「大丈夫か?」
「いや、カイル様の援軍を要請す…」







そういえば、そうだった

普通に動いているから喋っているから普段は気付かないが


パキン




ロウビィの目には割れたスピリタスの体が映っていた


バラバラとスピリタスの木片が地面に落ちる
最後の意思でロウビィを巻き込むまいと自爆を防いだスピリタスは
微かな声でロウビィに言う
「このまま、全力で走れ」

「……わかった」



後ろからは何人ものロイヤルハンターが追いかけてくる

微かに聞こえた爆発音
後ろに連なる悲鳴

月明かりを背に宙に浮く少年・依炉波


ロウビィはアジトへ走り続けた
(スピリタス……)
ロウビィが離れてやっと自爆できた彼女の事を思っている場合ではない
今は自分が逃げなければいけないのだ




途中何度か岩に足を取られたものの、アジトの入り口はもう見えている
あとはそこに駆け込めば、そう


アジトの入り口には金髪金眼の少年の姿が見えた
彼がこちらへ走ってくる
(助かった)
安堵した一瞬に背中に殺意を感じる

無意識に振り向くとロイヤルハンターらしき人が剣を構えていた
その太刀筋を見切るのは容易ではない

2、3回避けたものの、足が崩れる
完全に捉えられたその軌跡をカイルの拳銃が防ぐ

回し蹴り、そして蹴りあげ
回転するようなその流れ

最後にバンと銃声が響いた

「……ロウビィ」だから外に出るなと言っただろう
「すみません」

両手に銃を構えたカイルは周囲を見渡すも、
他には誰もいなかった

「スピリタスもスピリタスだ
 いくら依炉波卿に興味があるからと…まったく」
「そうだ、スピリタス」
「自爆したんだろう、大丈夫だ」替えはある


はっと、カイルは銃を下げたまま、一点を見つめた
そこには血にまみれた和服を着た銀髪の少年が一人

ロウビィが軽くお辞儀をすると、彼は闇の中に消えていった


「助けて…くれたのかな…?」
「渚羽とゴードは不干渉のはずなんだけれどね…」
「あ…すみません」

月明かりを浴びて、首から下げていたカイルのシルバーが
キラリと光る



2人とも、後で反省会な


ハァとため息交じりにカイルが呟いた
------
依炉波を戦わしたかった
だたそれだけです

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