灯火嬢が教えてくれた曲、早速聞いてみました
どれもゆったりとした良い曲だね
癒される……
さて、癒されたところで突撃しましょうか
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――翌日
目覚しより先になった携帯の着信で、俺は目を覚ました
「神埼…?」
『もしもし、久遠君?』
「あ、あぁ、おはよう」
『うん、おはよう
それよりも、やっぱり恐れていた事が起きた』
「……?」
『君たちの事が秀吉さんにばれたらしい』
「神埼…なんて書いてあったんだ?」
神埼の声は落ち着いている
そこまで緊急な状況には思えなかった
『友達と言うものは大変重要です
失礼ながら若様はもう少し友達を選ばれてはいかがでしょうか
不適な友達は良からぬ騒動の発端ともなりかねません
……とりあえず、目立つのはこの文だ』
「俺たちをどうこうするってのはないんだな」
『あぁ、だけど念のため、登下校は警戒してくれ
あと、皇と海寺の連絡先も聞きたいんだけれど』
「いいよ、俺がメールしておく」
『悪いな、久遠 …巻き込んでしまったとはいえ、
君に助けを求めて正解だったような気もするよ』
「そういう事は解決してから言ってくれ」
『そうだな』
昨日の今日
どうやら秀吉は、神埼の周辺をチェックしているようだ
2人にメールをしながら俺はベッドの上で考え込んでみた
ピンポーン
「はーーい」
もう待ち望むようになってしまった時報
今日は立花さんは欠席ではないらしい
「おまたせ」
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
いつも通りの道を2人で歩く
そしていつも通り、昨日見たドラマやら読んだ本やらを語り合う
2人で歩くのが当然のようになっていた
最近工事に着手し出した近所の空き地の傍を通る
朝からガンガンと音を立てていた
「久遠君……?」
「何だ」
「あ、いえ、違います…」その…
立花さんが突然立ち止まる
俺もそのまま立ち止まってしまった
その視線の先を見るともう一人の久遠、怜がいた
制服とは違った服を着てぽつんと1人信号を待っている
「あぁ、あいつ一年の時から頻繁に学校休んでいるんだよ
殆ど来た事がない」
「大丈夫なんでしょうか…?」
「病気や怪我って言う話は聞いたことないな…」
どうやら怜は俺たちに気付いたらしい
プイと横を向くとそのまま何処かへ歩き出してしまった
「俺も同じ久遠として何度か話した事は有るんだが、
いつも素っ気ないというかなんというか」
ガコン
何かの音がした……上だ
上を見上げた立花さんが何かに驚く
俺もつられて上を見ると
視界に入ったのは大きなモノ
……鉄骨だ
まるで地震が起きたような大きな音と揺れ
俺たちはただ立ち尽くすしかなかった
「大丈夫か!!」
「救急車呼べ!!」
辺りが騒然となる
「立花さん、無事?」
「はい、大丈夫です」
ばら撒かれた鉄骨は
一番近いので俺の足から約1m
まさに間一髪だった
その後、特に怪我のなかった俺たちは
そのまま登校した
あんな形とはいえ怜に救われた、そんな気がしていた
「おい、久遠、大丈夫か?」今朝のメールのアレとか
話を聞いた海寺が心配そうに顔を見せる
「でも手紙には、そんなこと書いてなかったんだろう?」
考え込む皇に、1人立花さんはハテナマークを浮かべていた
「何かあったのですか?」
「あぁ……事件に巻き込まれているかもしれないんだ
だけど、ここではちょっと……」
クラスには人がいる
まさかその中で他校生のストーカー事件に関わってますなんて言えるわけがない
しかし、このまま立花さんを外すのもどうかと思った
そんな事を考えていた俺は立花さんの笑みに少し驚いた
「わかりました 詳しい事は聞かないでおきますね」
「え?いいの?」
「いいです 私も警戒していればいいんですよね?」
「あ、あぁ……」
そんな時、携帯にメールが入る
「神埼か?」
「あぁ、鉄骨の事話したら、今日も会おうという事になったんだ……??」
「どうした?」
「いや、イザナミがなんとか…皇ならわかるって」
「俺?」
俺は携帯を皇に渡した
「イザナミって神話のか?」
「さあ?」
「神様が何かあったのでしょうか」
海寺と立花さんは顔を見合わせる
確か、黄泉の国がどうとか……
状況のわからない俺たちをよそに、皇の表情は険しくなった
「やばいぞ、コレ」もしコレが本当なら…
「皇?」
そんな時、運悪くなるのが時報
授業の始まりだった
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時系列的には以前の緑色の砂よりちょっと前になります